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黒澤明 『どですかでん』 #24

初めてのカラー作品。貧民街に住む様々な人たちが描かれています。

電車の運転手になりきってる知恵遅れの少年。酒に溺れ近親相姦に陥ってしまう男。いつも大邸宅を建てる事を夢想している乞食の親子。平然と相手を交換し合う、肉体労働者夫婦たち。妻の浮気からショックで立ち直れなくなる哀れな男、等々。

この映画『どん底』の現代版みたいな感じといったらいいのでしょうか?。やはりこういう作品、わかりやすいんだけどよくわからないのです?私には。一体何を描こうとし、訴えようとしているのか?。社会の最下層に住む人間たちの屈折、頽廃といった問題をテーマにした黒澤流リアリズム?。

いや考える必要はないのかもしれませんね。
この映画を観ると特に、黒澤監督の次の言葉が思い出されます。
「私に論理などない。表現するしか説明できないものを、誰にもわかるように表現しようとしているだけだ。」

どですかでん

 どですかでん 1970(昭和45)年 126分
  【脚本】黒澤 明、小国英雄、橋本 忍 【撮影】斎藤孝雄、福沢康道 【音楽】武満 徹
  【出演】 頭師佳孝、伴淳三郎、菅井きん 他

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黒澤明 『デルス・ウザーラ』 #25

黒澤明 監督、唯一の海外での製作映画作品。

実はそれ以前に、『トラ・トラ・トラ』等、ハリウッド進出のオファーはあったんだけど、ゴタゴタがあって頓挫。そして自殺未遂があったりして...

で、まあいろいろあった後の復活の舞台として、(旧)ソ連を選んだわけですね。

そうした背景もあってか、心機一転、別天地で、国内での商業主義的な束縛にも囚われず(?)、自由に、自然な感性で創り上げた、という印象を受けます。黒澤映画の中ではちょっと異色かもしれません。でも、黒澤芸術の神髄を味わえる作品だと思います。

原作は20世紀初頭のシベリア極東地方の探検記。シベリアの厳しい自然を舞台に、学術探検隊長アルセーニェフと老猟師デルス・ウザーラの心温まる交流が描かれます。大自然に根付いて素朴に生きるデルス・ウザーラの姿に、アルセーニェフはしだいに魅了されていき、厚い友情が育まれる...

その過程がワンシーン・ワンシーンじっくり描かれ、観客(観る側)もデルス・ウザーラの魅力に惹き込まれていくのです。この辺りの丹念な描き込みが、黒澤監督の並外れたところなんですね。


エピソードを一つ。冬のシベリヤの荒野、アルセーニェフとデルスが道に迷い、生き延びるため小屋を作るのに大量の草を刈るシーン。そのリアルさを出すために10日もかけたという。実際アルセーニェフ役の俳優は疲労でぶっ倒れたそうです。黒澤監督らしい、徹底した完全主義に、さぞかし俳優は大変だったことでしょう(^^;)。

あとは言葉を尽くしてもなかなか伝わりきらない、この作品の雰囲気。まさに映像叙事詩です。これぞ「映画」という媒体ならではの、表現作品だと思います。特にCG等では到底創り出すことはできない、シベリアの自然そのものの情景。広大な風景、厳しい風雪、雪解けのみずみずしい川の流れ、等々...映画館で観たかったなあ。

それとこの映画のエッセンスとして語ろうとしているもの。自然=デルス、文明=アルセーニェフ、という象徴(人物)を通じての、「自然と文明の競合」という問題について。このことに目を背けるわけにはいかないんですね。やはり黒澤監督は、単なるお涙頂戴の友情物語には終わらせなかった。そうした問題を投げかけながら、余韻を響かせつつ、エンディングロールが流れます...

デルス・ウザーラ
 デルス・ウザーラ 1975(昭和50)年 142分
  【脚本】黒澤 明 【撮影】中井朝一 他 【音楽】イサク・シュワルツ
  【出演】ユーリー・サローミン、 マキシム・ムンズク 他

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黒澤明 『影武者』 #26

戦国時代の武将、武田信玄の影武者の逸話を基に、武田家の衰退と戦乱の様相を描いた時代劇大作。カンヌ映画祭グランプリ受賞作。

黒澤作品はこの影武者あたりから、映像の美しさを重視する傾向に変わった、と言われています。確かに従来ならば、影武者という特殊な立場に置かれた人間の描写(内面の葛藤や虚像と実像の対比等)を、もっと徹底的に表現したでしょう。そういった面では、昔ながらの黒澤ファンには受入れ難い作品かもしれません。

しかし私のような素人には、わかりやすいドラマ構成で、映像重視のこういう作品の方が、黒澤監督の凄さを容易に受け入れる事ができるのです。とにかく重厚で美しく、風格がある映像は、ワンシーン毎に全霊をつぎ込んだようなこだわりとエネルギーをストレートに感じる事ができる。

その描写はまさに黒澤美術(アート)

また卑しい身分の影武者が、武将をどう演じるのかも見所ですね。演技の中で演技を演じる、この難しい役どころを仲代達矢が見事に演じきっています(※勝新だったらもっと面白かったか?)。

※元々主役は、勝新太郎だったが黒澤監督と対立し、途中降板。

影武者

 影武者 1980(昭和55)年 179分
  【脚本】黒澤 明、井手雅人 【撮影】斎藤孝雄、上田正治 【音楽】池辺晋一郎
  【出演】仲代達矢、山崎 努、萩原健一 他

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黒澤明 『乱』 #27

シェークスピアの「リア王」と、戦国時代の毛利元就と息子達三兄弟の逸話を組み合わせ、黒澤風の文化と様式美あふれるオリジナル世界に仕立て上げた、スペクタクル時代劇

広大なロケーションとオープンセットをステージにした、壮大な舞台劇とでも申しましょうか。さらに前作影武者にも増して、映像が実に美術的!です。

こういう視覚的に観れる映画、私は好きです。それに、能の表現形式、豪華絢爛たる衣装等、日本独自の文化・様式を再認識する意味でも、よくぞこういう映画を残してくれた、と勝手に思ったりしています。

ただここまで映像表現や演出技術が前面に出てしまうと、もはや巨匠の道楽的作品と観る向きもあるようですね。作品を創る度に、世評の風当たりが強くなるのも巨匠たる故の宿命なのかもしれません。

そのせいではないでしょうけれども、この映画での戦闘殺傷シーンは凄絶というより、虚しく映し出されているのが印象に残ります。

作品の評価はどうあれ、戦乱の様相と人間像を、円熟した感性で描き上げた、黒澤監督最後の大作といえるでしょう。

乱
  1985(昭和60)年 162分
  【脚本】黒澤 明、小国英雄、井手雅人 他 【撮影】斎藤孝雄 他 【音楽】武滿 徹
  【出演】仲代達矢、寺尾聰、根津甚八、隆 大介 他

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