映画全体の風格では『用心棒』に軍配が上がるだろうけど、娯楽性においてはこちらの方が、面白いんじゃないかな。また例の如く綿密に練られたシナリオで、観る側をハラハラドキドキさせるドラマ展開は、現代の日本映画においても今なお、充分お手本になると思います。
お話の面白さもさる事ながら、相変わらず三船敏郎の剣さばき、素早い立ち回りは見事!。なんせ三船さんは、普通の俳優が三挙動かかる動作を一挙動でこなすっていうぐらいだから、そりゃ見ごたえがあります。
またキャスティングが実にいいですね。三十郎の三船敏郎を始め、小林桂樹、伊藤雄之助のとぼけたキャラクターは可笑しくて、親しみを感じさせる。黒澤明 監督は「キャラクター作りの名人」である、と言われる所以が、この作品を観るとうなずけます。
この映画の最大の見所は、やはりラストでしょう。シナリオでは「長い恐ろしい間があって、勝負はギラっと刀が一ぺん光っただけで決まる」とだけ記されてあったとの事。まさに緊迫!鮮烈!のラスト・クライマックスシーンは必見です。

『椿三十郎 』 1962(昭和37)年 95分
【脚本】菊島隆三、小国英雄、黒澤 明 【撮影】小泉福造 他 【音楽】佐藤 勝
【出演】三船敏郎、仲代達矢、加山雄三、入江たか子 他
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