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黒澤明 『デルス・ウザーラ』 #25

黒澤明 監督、唯一の海外での製作映画作品。

実はそれ以前に、『トラ・トラ・トラ』等、ハリウッド進出のオファーはあったんだけど、ゴタゴタがあって頓挫。そして自殺未遂があったりして...

で、まあいろいろあった後の復活の舞台として、(旧)ソ連を選んだわけですね。

そうした背景もあってか、心機一転、別天地で、国内での商業主義的な束縛にも囚われず(?)、自由に、自然な感性で創り上げた、という印象を受けます。黒澤映画の中ではちょっと異色かもしれません。でも、黒澤芸術の神髄を味わえる作品だと思います。

原作は20世紀初頭のシベリア極東地方の探検記。シベリアの厳しい自然を舞台に、学術探検隊長アルセーニェフと老猟師デルス・ウザーラの心温まる交流が描かれます。大自然に根付いて素朴に生きるデルス・ウザーラの姿に、アルセーニェフはしだいに魅了されていき、厚い友情が育まれる...

その過程がワンシーン・ワンシーンじっくり描かれ、観客(観る側)もデルス・ウザーラの魅力に惹き込まれていくのです。この辺りの丹念な描き込みが、黒澤監督の並外れたところなんですね。


エピソードを一つ。冬のシベリヤの荒野、アルセーニェフとデルスが道に迷い、生き延びるため小屋を作るのに大量の草を刈るシーン。そのリアルさを出すために10日もかけたという。実際アルセーニェフ役の俳優は疲労でぶっ倒れたそうです。黒澤監督らしい、徹底した完全主義に、さぞかし俳優は大変だったことでしょう(^^;)。

あとは言葉を尽くしてもなかなか伝わりきらない、この作品の雰囲気。まさに映像叙事詩です。これぞ「映画」という媒体ならではの、表現作品だと思います。特にCG等では到底創り出すことはできない、シベリアの自然そのものの情景。広大な風景、厳しい風雪、雪解けのみずみずしい川の流れ、等々...映画館で観たかったなあ。

それとこの映画のエッセンスとして語ろうとしているもの。自然=デルス、文明=アルセーニェフ、という象徴(人物)を通じての、「自然と文明の競合」という問題について。このことに目を背けるわけにはいかないんですね。やはり黒澤監督は、単なるお涙頂戴の友情物語には終わらせなかった。そうした問題を投げかけながら、余韻を響かせつつ、エンディングロールが流れます...

デルス・ウザーラ
 デルス・ウザーラ 1975(昭和50)年 142分
  【脚本】黒澤 明 【撮影】中井朝一 他 【音楽】イサク・シュワルツ
  【出演】ユーリー・サローミン、 マキシム・ムンズク 他

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Excerpt: 黒澤明黒澤 明(くろさわ あきら、1910年3月23日 - 1998年9月6日)(黒沢 明とも表記)は、日本の映画監督。小津安二郎、溝口健二、成瀬巳喜男らと共に、世界的に広く名前が知られている日本映画..
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