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黒澤明 『八月の狂詩曲』 #29

80歳晩期の黒澤明 監督が、円熟した表現手法で描きあげたメッセージ映画

長崎に住むおばあちゃんと孫たちとのひと夏の交流を通して、原爆の恐怖、反戦・反核を訴える。あくまで長閑(のどか)な日常の描写の中から、静かに戦争を諷刺(ふうし※)しています。

※諷刺・・・社会制度に見られる構造的な欠陥や、高官の言動にうかがわれる人間性のいやしさなどを、露骨に非難せず、やんわりと大所高所から批評すること。

そう、まさしく諷刺です。戦争の悲惨な描写や被害者の慟哭などはなく、原爆(ピカ)を目玉で象徴し、いびつに歪んだジャングル・ジムでその被害を目に焼き付ける。実に鮮やかな表現でもって...

そして物議を醸した、リチャード・ギア(ハワイの甥役)と、(原爆で夫を失った)おばあちゃんとの会話。

「オジさんのこと知らなくて、ホントにす・み・ま・せ・んでした」 (片言の日本語で)
「よかと...」
(中略)
「わたしたち、ワルかった」 (※この際 R・ギアの演技についての論議はどうでもいいんです^^;)
「・・・よかとですよ」

このシーンがアメリカのマスコミや国内でもかなりバッシングされたようですが、そんなことは百も承知で黒澤監督は言わせている(訴えたかった)んだと思います。これらのメッセージを日本の戦争の是非云々といった解釈でとらえてしまうのは、誠に残念!(鑑賞力が貧しい)としかいいようがない。

おばちゃんの「よかと...」、このひと言が、いかに寛容で、人間愛に満ちた言葉であるか!。

また同じ原爆で夫を失った老婆どおしが無言で語り合うシーン!。どんな叫びよりも、悲しみの深さを物語っていると思います。

あとは、黒澤映画の中でもおそらく屈指の名ラストシーンであります。いっけん滑稽な絵でありながら、この映画に込めた全ての思いを凝縮させたようなシーン。心に染み入ります。『八月の狂詩曲(ラプソディ)』・・・見事なタイトルと共に、晩年最良の佳作を、日本人のために残してくれました。

八月の狂詩曲
 八月の狂詩曲 1991(平成3)年 100分
  【脚本】黒澤 明 【撮影】斎藤孝雄、上田正治 【音楽】池辺晋一郎
  【出演】村瀬幸子、吉岡秀隆、リチャード・ギア、井川比佐志 他

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